ISSUE 1
2017.09.04
企画会社という仕事柄、よく「どうしたら集客できますか?」「この店、流行りますか?」ということを聞かれる。
お店を開店したはいいが、思っていたほどお客様が来ない、なぜ自分の店より“あの店”が賑わっているのかわからない、最初はよかったのに数字は先細り、、さまざまな状況があるが、正直、こうしたらいい!という絶対的勝利の方程式など存在しない。
しかし、長年飲食店と関わって来た経験から思うことは「主観と客観のバランスを見極めること」「想像力を働かせること」が何より大切だということである。 (いかにも偉そうに語っているが、実は大したことなく、難しいことではない、、と思う)。
前者の「主観と客観のバランス」というのは「どんな店にしたいのか?」という明確なビジョンと、「その店がこの店、この時代、ターゲットに受け入れられるのか」という冷静な判断とのバランスである。こんなお店を作りたい!という独りよがりの情熱だけでは、なかなか立ち行かないことも多い。例えば土地。東京なのか、地方なのか、はたまた海外なのか、まずは「地を知り、人を識る」ことが一番。データや数字より、現地で感じる肌の感覚が一番信頼できる。地元の信頼できる食いしん坊たち(男性、女性、年齢層も幅広くだと最高!)に話を聞くのが一番の近道。プロとしての勘ドコロも大事だが、何事もまずは人の話は素直に聞くに越したことはないのだ。
そしていかなる時も大事なのが「想像力を働かせること」。どこで、どんな料理を、どんな人に食べてもらいたいか、ということだけではなく、さらに突っ込んで、どんな会話ができる場所にするのか、どんな時間を過ごしてもらえる場所にするのか?まで、想像、いや妄想を広げることが大切。考えることを中途半端にせず、もう一歩、もう一歩と諦めず、思いを馳せる=思い遣る、ことが店の原点となって、コンセプトをぶれさせない。
例えば、カフェを開こうと思うとする。同じ価値観を持つ友達や若者が集う店か、ファミリーでも来れる店か、大人がゆったりと過ごせる場所にしたいのかでは、まったく世界観が変わってくる。若者が集うとなると、それなりのトレンド感や賑わい、店主の感度の高さなどが問われるだろうし、ファミリーでとなると子どもに優しい空間やメニューも必要になるだろう。大人の場合は、お茶する時にする会話の中身も濃厚になりがち。落ち着いた空間も接客も求められ、会話が隣の席や店の人に丸聞こえという距離感は敬遠されがちになる。場所も、メニュー構成も、空間づくりもすべてはこの想像(妄想)からはじまるところが多い。想像こそ創造の母、なのだ。
そんな想像力を広げ、第3者としての客観的視点を提供し、さらに一歩先の楽しい世界を可視化していくことが我々プランニング会社のミッション。
今日も日夜、妄想族の旅は続くのである。